蔵について
杜氏について
兄弟で醸す信州伊那谷の酒
中央アルプスと南アルプスに囲まれた信州伊那谷。
大正4年に創業した春日酒造(2020年改称、以前の社名は漆戸醸造)は、天竜川の流れる長野県伊那市にある「井乃頭」蔵元です。
全ての酒を東京農業大学醸造学科を卒業した兄弟ふたりのみで、丁寧に醸し出しております。
漆戸醸造(現在の春日酒造)は、漆戸周平が創業いたしました。
社名に「醸造」が付くのは、酒のほかに味噌・醤油を造っていたことがあったためです。
現在は春日酒造に改称し、変わらずに日本酒・焼酎等を造っております。
昔から、私たちは祝い事といえば酒を飲み、ひとがこの世から旅立つときも酒を酌み交わしました。
また、日本の春夏秋冬・四季折々の食を楽しみながら、杯を重ねてきました。
初代の周平が名付けた酒銘「井乃頭」(いのかしら)は、大正10年(1921年)5月に商標登録をしました。
「最高の湧き水」・「よい水の湧くところ」を 意味する「井(戸)のかしら」から、また東京の井の頭公園の湧き水は江戸時代将軍家の茶の湯に使われた名水であることから銘柄の由来となっております。
様々な場所・時間で、井乃頭を飲んでくださった方が「おいしい」と感じてくださること、また楽しい時間、思い出に欠かせないものでありたいと願い、春日酒造の全商品を兄弟ふたりで造っております。
歴史
大正
- 大正4年(1915年)
- 休業中の酒蔵 伊那市春日公園 伊那部宿造り酒屋 井澤家酒蔵を借り受け、漆戸周平(初代)により漆戸酒造店として開業(1915年10月)。
- 大正10年(1921年)
- 現在の酒銘「井乃頭」を正式に商標登録し(登録日:1921年5月27日)、酒類販売。
昭和
- 昭和元年(1926年)
- 現在のJR伊那市駅隣に移転。
- 昭和25年(1950年)
- 漆戸醸造株式会社となる。
平成
- 平成7年(1995年)
- 現社長(兄:漆戸正彦)が新潟(八海山蔵元、八海醸造)から帰郷。漆戸醸造で酒造りを始める。
- 平成9年(1997年)
- 全国新酒鑑評会 金賞受賞(8BY)
第64回 関東信越国税局酒類鑑評会 優秀賞受賞(4月)
第65回 関東信越国税局酒類鑑評会 優秀賞受賞(11月) - 平成11年(1999年)
- 第68回 関東信越国税局酒類鑑評会 優秀賞受賞(11月)
- 平成13年(2001年)
- 先代社長の急逝により、現社長が代表取締役に就任。現杜氏(弟)が帰郷し、兄弟ふたりで酒造りを始める。
第72回 関東信越国税局酒類鑑評会 優秀賞受賞(11月) - 平成14年(2002年)
- 全国新酒鑑評会 金賞受賞(13BY)
- 平成19年(2007年)
- 全国新酒鑑評会 金賞受賞(18BY)
- 平成20年(2008年)
- 全国新酒鑑評会 入賞(19BY)
- 平成21年(2009年)
- 第80回 関東信越国税局酒類鑑評会 燗酒の部「井乃頭 純米吟醸」優秀賞受賞(2009年11月5日発表)
- 平成22年(2010年)
- 全国新酒鑑評会 入賞(21BY)
第57回 長野県清酒品評会「井乃頭 大吟醸」県知事賞(優等賞)受賞(2010年9月24日発表) - 平成23年(2011年)
- 全国新酒鑑評会 入賞(22BY)
- 平成24年(2012年)
- 映画「ALWAYS 三丁目の夕日’64」(2012年1月公開)にて井乃頭がラベル出演。
全国新酒鑑評会 入賞(23BY)
第83回 関東信越国税局酒類鑑評会 純米酒の部「井乃頭 純米」優秀賞受賞(2012年10月30日発表) - 平成25年(2013年)
- 第84回 関東信越国税局酒類鑑評会 吟醸酒の部「井乃頭 大吟醸」優秀賞受賞(2013年10月29日発表)
- 平成27年(2015年)
- 第62回 長野県清酒品評会 純米吟醸酒部門「井乃頭 純米大吟醸」長野県知事賞受賞(2015年9月16日発表)
- 平成28年(2016年)
- 全国新酒鑑評会 入賞(27BY)
第63回 長野県清酒品評会 純米吟醸酒部門「井乃頭 純米大吟醸」長野県知事賞受賞(2016年9月20日発表) - 平成29年(2017年)
- 全国新酒鑑評会 入賞(28BY)
第88回 関東信越国税局酒類鑑評会 純米吟醸酒の部「井乃頭 純米大吟醸」優秀賞受賞(2017年11月1日発表) - 平成30年(2018年)
- 平成29酒造年度 全国新酒鑑評会 金賞受賞(2018年5月17日発表)
第65回 長野県清酒品評会 純米吟醸酒部門「井乃頭 純米大吟醸」長野県知事賞受賞(2018年9月20日発表)
令和
- 令和2年(2020年)
- 春日酒造株式会社に改称(2020年4月1日)
令和元酒造年度 全国新酒鑑評会 入賞(2020年5月22日発表)
※ 新型コロナの影響で一次審査のみが行われ、金賞酒については決審中止に伴い選定されませんでしたので、今酒造年度においては入賞が最高賞になります。
井乃頭の由来
大正4年、それまで箕輪町(伊那市のとなり、上伊那郡箕輪町)の造り酒屋で番頭をしておりました漆戸周平(創業者)は、現在の伊那市伊那部宿にある「いさわ」という休業中の酒屋の店舗を借り受け、「漆戸酒造店」を開業しました。
店舗借り受けの契約期間は10年、生産量は百石からのスタートでありました。
大正4年大正5年酒類製造帳当時の酒屋は、平均して店独自の方法によって作られる、所謂「造り酒屋」で、漆戸酒造店もその例にもれず、米の仕入れから販売まで全てを賄っていました。
さらに、日常の食生活には欠かせない味噌や醤油の製造・販売もしておりました。
漆戸酒造店で売られていた酒は、店舗の貸し主である「いさわ」で販売されていた酒の名をそのまま受け継ぎ、「花の友」と付けられていました。 しかし、大正10年、別の酒造会社がこの名を使っていることがわかり、漆戸周平は名称変更を決意しました。
「酒に欠かせないものに、上質の米と、同じく汚れのない水が必要。それならば、そのどちらかに因んだ名をつけなければ・・・」 漆戸周平は考え、徳川300年のご用水でもある東京の井の頭公園の名水に因んで、「井乃頭」と命名しました。
また、「井乃頭」には<最上の水>・<よい水の湧くところ>を表す、“井戸の頭”という意味もあります。
こうして大正10年(1921年)5月27日、正式に商標登録をし、「井乃頭」の歴史がスタートしました。
酒造りのこだわり
水と米に恵まれ、酒造りに適した気候である信州は、たくさんの蔵元があり、伊那谷でも多くの蔵元が酒を造り続けています。
春日酒造では、中央アルプス水系の湧出する伏流水を自然のまま用い、そして信州が生んだ「美山錦」「ひとごこち」を使い、地酒を醸しています。
tukuri7001酒銘「井乃頭」の名前にも深くつながりのある「水」。すべての生き物にとって大切な「水」。
日本酒においても、水は命ともいえます。その酒の命でもある水は、中央アルプス水系の湧出する伏流水。その水を汲み上げて醸す酒は、軟水特有のやわらかさがよく表れた濃醇な旨口です。
米は「美山錦」、「ひとごこち」を使用(一部商品を除く)。
どちらも信州で生まれた、味に幅のある酒ができる酒米です。
地元の米を丁寧に磨き、米の旨味・香りを愉しんでいただけるよう、造り続けています。伊那谷の風土・歴史・空気・水、命が醸した「井乃頭」となるのです。 tukuri002 造りは昔ながらの伝統的な手法で、特に大吟醸や限定酒などは道具や独特な手法を使います。 毎日の食事や語らい、祝い事、人生の節目に、人は酒を呑みます。
一年の節句にも、酒と料理で無病息災・五穀豊穣を願い、日本酒は日本の文化であります。
伊那谷の山々やそこに生息するすべての命あるもの、そして今ある与えられた多くの恵みの中で井乃頭は生まれています。
ハレの日も卦の日も、人の生活とともに寄り添う酒を造り続けていくことが、春日酒造の約束です。